夢日記 2022/9/15

最近体調が悪い。そして最近体調が悪い時に見るようになった夢がある。おばあちゃんの家で死体を埋める夢だ。

恐らくあの世代が一般的に建てていたであろう構造のごく普通の二階建て一軒家。右サイドと左サイドに一軒ずつしか建たないような細長い坂の上に立つ青い屋根の家だ。私の幼少期、我が家はおばあちゃんの家に家族ぐるみで何年か居候していた時期がある。だからあの家は自分が「日本の田舎」的な生活を送った最初で最後の場所として強く記憶に残っている。短毛種の犬の毛のようなカーペットの質感から、電源が入っていないときの掘りごたつのひんやり感まで鮮明に覚えている。 

おばあちゃんの家は10年以上前に取り壊されている。自分は記憶力が良い方で、しかも映像記憶が少しあるのでおばあちゃんの家以外にも思い出せる空間はいくつもある。その中でなぜあの家が選ばれるのかはよくわかっていない。

もちろんおばあちゃんの家で死体を埋めたのは夢の中の話であって、現実に体験したわけではない。ヒトの死体に限らず、ペットの死体とかも埋めた記憶がない。なので本当にわからない。自分がなぜあそこで死体を埋めるのか、なぜあの家なのか。

袋は厚手のクリアなポリ袋だった。親指と人差指でつまみ、引き出すときの厚みと、重なったプラスチックが内側でヅルっと滑る質感がいやに生々しかった。

アメリカのドラマのBBQシーンでしか見たことがないサイズの食べかけのスペアリブみたいな肉塊が、赤黒い謎の液体に満たされている。不思議と死体の臭いはしなかった。

もしかしたら人の死体ではなく、本当にBBQをする予定の食材だったのかもしれない。なにしろ「人の」死体であると確信できるような情報は、夢の最初から一度も出てきていない。

わかっているのは、自分がなぜかその家の中で1人で、なにか途轍もなく後ろめたい気持ちを抱いていて、その袋を恐る恐る運んでいるという状況だけだ。やっぱり死体にしか思えない。

二階の部屋は洗濯物を干すために大窓からベランダに出られるようになっている。

死体の臭いはしていないのだが、新鮮な空気を吸いたくなって、居ても立っても居られなくなった。誰に見つかるわけでもないのに、死体の袋をいったん羽毛布団が入っている巨大な布団カバーの後ろに隠す。

窓を開けると、夏の終わり特有のひんやりとした空気が肌を刺した。思わず身震いして窓を閉めそうになったが、思い切って身体を外に出した。スリッパがなかったので足裏がざらざらする。

星がまあまあ綺麗だった。子供の頃に見た星の綺麗さと、大人になってから見る星の綺麗さはあんまり変わらないような気がする。他のものの美しさはごく簡単に変わっていくのに不思議なことだと思った。

夢はそこで終わった。